プールの安全
昨年7月に起きた埼玉県ふじみ野市営プールでの小学生死亡事故を受けて事故防止の安全標準が作られましたが未だに基準が満たせていないプールが多くあるようです。
朝日新聞のインターネット版によると
「全国の国公私立の小中高校が設置している水泳プールのうち、吸水口や排水口のふたを固定していなかったり、吸い込み防止金具をつけていなかったりするなど、安全上の不備が1222校であることが、30日に結果が発表された文部科学省の調査でわかった。教育委員会が所管している公営プールも132施設で不備があった。いずれも今年の利用開始までに改善される予定という。 」
今から改善するって遅すぎでは無いでしょうか?
吸込み防止金具が未だに無いなんて怠慢も程々にして欲しいです。
今回はなぜ、こんな怠慢が起こっているのかを考えてみたいと思います。
吸込み防止金具についての法的基準を調べていくと愛知県は「愛知県プール条例」により「排水口には、堅固な金網、鉄格子等を二重に設けること」と明確に法的な基準がありましたが、その他の多くの自治体ではプールに関する条例や要綱が無い場合が多く、条例を制定している都道府県が5県、要綱を制定しているのが22県、要綱すらないのが20県となっていました。
また、監督官庁がどこかと言う点でも、学校のプールは文部科学省の「学校環境衛生の基準」、公園のプールは国土交通省の「都市公園技術基準」、民間のプールや地方自治体が設置する公共プールは設置場所の自治体の条例となっていて同じプールでも統一された基準と言うものが有りませんでした。
国の基準の方は、まだ通達が絶対の効力を持っていた時代の1996年5月20日付「通知」により、ふたの内側にも吸い込み防止金具を付ける二重の対策を取ることが指導されていました。
以上のように体系だった安全基準がなく何処の誰がどの様な基準で安全対策をするのか非常に分かりにくいものになっていることが分かります。
エキスポランドのジェットコースター事故についても同じことが言えると思いますが、守らなきゃいけない基準が何なのか分からないような安全基準では安全を確保できないのではないでしょうか。
工場設備の保守点検の基準とか防災設備の法定点検の内容とかを確認することが有りますが、該当する法律を読んでいくと「省令で定める、、、」とか「政令で定めるものをいう」とか「ナントカ法第○条の規定により」とか外部文章を延々と参照していかないと理解できない文章ばかりであることが分かりにくさの第一にあります。
また、法律や政令、省令ではあいまいな表現になっていて具体的な要求事項が分からず、本来効力が無いはずの通達に具体的なことが書いてあることが第二にあります。
工場設備の安全対策でよく行われている手法でフェールセーフ、フールプルーフというものが有りますが、「故障しても安全な方に作動して重大事故を起こさない。」「知識を持たない人が誤った扱いをしても事故を起こさないようにする。」という信頼性設計の基本的な考え方です。
現在の安全基準に関する法律等は信頼性設計の基本的な考えが全く取り入れられていないものと言えます。
法律の専門家ではないプールの設置者、管理者や遊園地の設置者、管理者が一冊のマニュアルを順番に読んでいけば安全な施設が設置、運用出来るような法体系にしない限り似たような事故が減らないように思います。
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